古家付き土地を売却する際の主な注意点を述べる前に、更地にして売却する場合と比較して考えてみたいと思います。
古家付き土地売却のメリット
まずメリットについて考えてみたいと思います。
古家付きで、土地が売れる理由としては、立地環境の良さがあると言えます。
古い住宅街ほど交通の便がいいのです。建築した状態を目視できるからです。住宅ローンも適用可能ですから、買主にとってはメリットになります。
また解体するのに、手間がかからないということです。さらに固定資産税や都市計画税の軽減措置もあります。
住宅用地の負担調整措置として、法定耐用年数以上の古家は瑕疵担保責任が免責されます。
更地にして、長期的に所有すると、古家付き土地の6倍の課税が課されます。
昨今の古民家ブームもあり、街並みに溶け込んだレトロな外観の家は人気があります。
最近では、カフェや図書館にするとか、学生の下宿先、ゲストハウスに利用するなどがあります。
NPO法人街ing本郷の「ひとつ屋根の下プロジェクト」は興味深い試みだと思います。
地域に住む高齢者宅に学生を下宿させるのです。
シニアにとっては、日常生活に張りが出るし、学生にとってはリーズナブルな家賃で、うまくマッチングすれば素晴らしいです。
しかしながら、失敗例もあるようです。
生活時間が異なったり、高齢者の警戒心が強くてなかなかうまくいかないケースがあったようなので、2015年度からは、シニアと学生が知り合うところから始めるということで、「ひとつ釜の飯プロジェクト」が進められているようです。
学生が高齢者に料理を作ってもてなすのです。
ある程度顔見知りになってから、下宿してもらう方がいいのではということです。
ひょっとしたらスムーズにいくかもしれないですね。
これらの試みは空き家のまま放置することを考えたら、ひとつの有効な方法かもしれません。
このようにして、買い手を見つける工夫も色々考えてみるのもいいですね。
古家付き土地はレイアウトをどうするのかもイメージしやすいのです。
更地にしたら、融資制限手続きが煩雑ですが、古家付き土地は、住宅ローンが組みやすいのです。
古家付き土地売却の注意点(デメリット)
更地にすると、用途が幅広くなるということです。一から図面の作成ができるし、商業地ならビルや駐車場にもできます。
更地は、とても稀少価値があります。
木造戸建て住宅は、耐用年数は22年と言われています。要するに、築20年前後で資産価値が喪失するということです。
木造家屋の解体費用は一坪あたり2万5千円から4万円なので、解体費用を見越して売値を低く設定されます。
最後に
古家付き土地売却の注意点は、そのままで税金対策にはなるのですが、資産価値が築20年前後で無くなるという点です。
売れ残って、放置したりすると、建物がますます老朽化して、様々な問題が派生してくることを常に念頭に置いておく必要があります。(1211文字)
参考文献
- 野澤千絵『老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する』講談社、2018年12月
- 野澤千絵『老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路』講談社、2016年12月
- 中川寛子『解決!空き家問題』筑摩書房、2015年11月
- 牧野知弘『空き家問題』祥伝社、2014年12月
- 山崎隆『資産価値を守る!大災害に強い町、弱い町』朝日新聞出版、2014年2月