近年において、空き家の増加は社会問題となっています。
また人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されますが、空き家を放置するとさまざまなリスクにつながることがあるので対策が必要です。
空き家問題はなぜ深刻化するのか、そのことによって起こるリスクについて考えてみましょう。
空き家が増加する原因は、人口とともに世帯数も減少傾向にあるにもかかわらず、住宅戸数が増え続けていることにあります。
これは新築住宅の供給に対する規制がなく、中古住宅よりも新築住宅のほうが多く流通していることが原因と考えられます。
欧米などは建築規制が厳しく新築住宅の供給は限られているので、中古住宅のほうがメインとして流通しています。
一方で日本においては、規制よりもむしろ優遇策がとられていることから、明らかに新築住宅の供給過多にあるのです。
したがって空き家問題を解決するには、新築の供給を規制し、中古住宅の流通を活性化させる必要があるのではないでしょうか。
また空き家が増える原因に、固定資産税の制度にも関係があると考えられます。
固定資産税には、住宅用地は固定資産税の軽減措置が適用されるという「住宅用地の特例」があります。
この特定によって、建物が建っている土地の面積における200㎡以下の部分ついては、固定資産税が6分の1に減額されることが定められています。
しかし更地にすると、この特例は適用されなくなることから、固定資産税の負担が6倍に膨れ上がるわけです。
では空き家の状態で放置した場合のリスクとはどのようなことが考えられるでしょうか。まずは、建物の劣化が急激に進行することです。
建物は誰も住まなくなると、換気されないことから湿気がたまりやすく、カビや木材の腐食の原因となります。
また建物の劣化が著しく進行すると、いざ売却したいと思っても難しくなる可能性もあります。
そして2015年に施工された「空き家対策特別措置法」による影響についても考えておく必要があるでしょう。
「空き家対策特別措置法」とは、「特定空家等」に指定された空き家に対し、自治体が是正勧告を行い、改善されなければ強制的に撤去できるというものです。
しかも撤去にかかった費用は所有者に請求されるので注意が必要です。
ちなみに「特定空家等」の定義は、倒壊する恐れがあるような危険な状態にあることや、衛生上問題があることなどが定められています。
空き家は今後も増え続けることが予想されます。
もし相続で空き家を抱えた場合、住まないのであればそのまま保有しておくか、賃貸する、あるいは売却するなどの選択肢が考えられます。
リスクを回避するには早々に売却することがベストといえますが、思い出の詰まった家を手放すのは簡単ではないかもしれません。
しかし売却したいときにはライバルが非常に多いことも予想され、できるだけ早い決断が必要となるでしょう。